相手を選んでチームを組む

今日、参加者が会場にそろった時、演出家の森田雄三がすかさず、皆に「さあ、今日はキャスティングを行うぞ」と言った。

しかし、キャスティングを行うの演出家ではないです。また、これで最終的な組み合わせが決まる訳ではないです。たった四日間だけの稽古で台本をおこし、芝居をまとめるには役者同志の相性が欠かせません。「この人と組んでみたい」気持があるからこそ何かが生まれてきます。

前日同様、まず参加者を順々に喋らせます。とにかく何にも縛られない、真っ先に頭に浮かぶ言葉です。「ええっと」などの定形から入ったり、現状に結び付ける事は前日同様禁止されています。殆どの参加者は前よりも格段に社交辞令を避けられるようになっています。中にはすらすらとおもしろい言葉を思い付く者もいれば、忠告される者もいます。

昨日とはちがって、今日はお互いを誘い合い、自主的に色々な組み合わせを試みることになります。残された時間はあと三日。自由かつ自然な発想から生まれる話や状況は発展しやすいが、人工的な状況や設定は発展しにくい。無理のある組み合わせは舞台に上がる途端ばらされ、ふりだしに戻されます。

一見厳しいように見えますが、発展性のない物語を追及しても本人たちが疲れるだけです。組み合わせが悪ければ互いに誘い合って出直せばいいだけです。

舞台の両わきに出番を待つチームがならんでいます。

出し物はさまざまですがすべてには日常的な信憑性があります。公演のテーマは「家族」になりそうです。スイカを種から育てる快楽を覚えた若い研究者はビデオ録画を忘れ、父親に怒られながらもめげずに淡々と話続ける。

上流家庭のちょっと奇妙ながらもほのぼのとした親子関係。彼氏に関する自慢話をしあう姉妹。

各作品をどこまで発展出来るかが勝負所です。特に見込みのありそうなものは仮決定とし、中には衣装の準備をするよう指示が出されるものもあります。しかし時間はまだ少しある。ネタがボツになっても、今日なら再挑戦する機会はまだまだあります。

ワークショップ全体を見守るイッセーさんも、飛び入りで参加出来る作品はないかと検討しているようです。

具体的な指示をしない森田
具体的な指示をしない森田

出番待ち
サイドの通路で稽古の順番を待つ。

ヤンキー娘にインテリ親父
ヤンキー娘にインテリ親父。

科学者親子のだんらん
科学者親子のだんらん。

お洒落な奥さんとと現場仕事の夫
お洒落な奥さんとと現場仕事の夫。

小5の演技に登場機会をうかがうイッセー
小5の演技に登場機会をうかがうイッセー。

三日目になるとコツのようなものがわかった人はどんどん喋りだした。
大家族は成立しにくいのか、二人組が多い。
座る位置や最初の台詞で夫婦、親子、兄弟かなど何となく分かる組みが近親者だから遠慮のない喋りが鉄則。その交わらない会話を続けていく。客席から笑いがもれてくる。

眼鏡にひげの優しい感じの青年と中年男性が、会話もなくお互いに何となく顔を見合わせ、「やってみようか」って感じで舞台に上がった。

ゴロリとうつ伏せになっている青年。ソファに座っている男性。二人はテレビを見ているらしい。青年はスイカを植えて増やしていく話をしている。中年男性が「ビデオが撮れていないじゃないか」言う。青年はスイカの話を続けてする。
「なあ、お前、スイカもいいけどビデオぐらい録画出来ないとな。」

仕事もしないでプランターでスイカを植えてる息子を父親が心配して言っている。のんびりした会話が続く、、、