バタフライ婆ちゃんと菠薐草と姥捨山
今日も雨。会場はもうしっかり舞台稽古をしている。やはり、栗東は稽古初日の凄まじい進歩が物を言い、本番の前日なのに余裕が感じられる。
今日も色々な話が生まれている。バタフライを泳ぐお婆ちゃん。17歳の時、琵琶湖でお爺ちゃんが溺れている所を助けたらしい。手漕ぎボートの事故が出会いの切っ掛けとなった。
今まで食べた中で一番まずいカレー。お母さんがバナナを入れているのが原因。単品で美味しいからといって、トロピカルな味になるとは限らないらしい。
演出家の森田が真剣に参加者一人一人の演技を観察する。張り切り過ぎて、一所懸命喋ろうとし過ぎると場面の雰囲気が壊れ、伝わらなくなる。問題は芝居の内容ではなくニュアンスだ。ゆっくりと、落ち着いて話しさえすれば必ず観客に伝わるなにかがある。
「いま、俺の身長ぐらいの絵を描いているんだ。宇宙だね」と誇る芸術家風の若い男。
「やっぱりピカソだな。一周するとピカソに戻る」と、息子と張り合うお父さん。お母さんは二人のバトルを努めて無視する。
テーマ。情報過多の時代。悲惨な事態を知っているとどうしても馬鹿にはしゃがないといられなくなる。
「だから菠薐草をたべなはれと言ったでしょう。青いものを食べなければあかんやろ。青い顔して。食べ物は一番よ」、と娘とその彼氏に説教する母。「ゴマももいいのよ。ゴマは何にかけても良いのよ。」
「あたし、うちの部長だいきらい。ゴマばかりすって」という娘が、「姥捨山はどこだろう」と対抗する。お母さんが少しきょとんとするが、当然動揺する訳ではない。森田いわく、年配の方ならそんな事を本当に持ち出されると面白がるはずだ。「君、可愛いね」とかいうかもしれない。しかし、面白い所まで来ているので稽古のし過ぎは禁物。母に台詞を決めて貰い、本番でその娘を驚かせるのが一番面白いだろう。
美容部員のキャンプ。全員が並んで歯を磨くと、背の高い白人が目の前を通る。皆が体を乗り出し、その姿を目で追う。しばらくすると、今度は皆の同僚と腕を組んで通る異人。その光景を見て様々な反応をする部員達。今度は、同僚の女の子だけが泣きながらとおり、数秒後異人が何かを言いながら追いかける。これからまだ変化や発展を遂げるであろう場面だ。
バイト先の皆に囲まれた和君が早口で喋っている。「寿司を食べた。美味しかったよ。今日、琵琶湖で泳ぐよ。向こう岸まで行ってターンするからね。頑張って泳げますから。そこまで泳げます。」
「貴方はやると言ったでしょう。責任を持ってもらわないと」、と攻める皆。どうやら、なにか大きなミスをしたらしい。しかし、和君は皆には直接答えようとはせず、一人で話し続ける。
「あと、琵琶湖を走りますから。一周廻りますから。周囲の木を数えますから。種類ごとに。」
「弁当はどうするのだ。あたしが買うわけ」、と聞く同僚。
「俺も釣り出来るから」、と交わす和君。
稽古は今日も遅く迄続く。

ドライブ中の二人は結婚を考えている。ところが、彼女にはまだ彼に明かしてない秘密がある。

理想の女性に出会った若者。しかし、彼女は高嶺の花。近付く勇気はあるのだろうか。

目の前で展開する物語は千差万別。みとれると、表情がその動きにつられて揺らぐ。

職場の駄目娘を囲む上司や同僚。皆で弱点を正そうとするが、本人はあまり気にしていない様子。

ネルトンパーティーで取り残される女性。男性が通る度に胸をときめかす。

他のチームの駄目だしを真剣に聞くと、自分の為にもなる。聞く時間の方が多いワークショップを最大限に活かす秘訣だ。

お婆ちゃん達との遠足」を駄目だし中の森田。ムッとしている孫達との自然な関係がポイントとなる。