太宰の香り

風邪で身体中が痛い。しかし、クェストホールでは今日、今年のワークショップの締め括りとなるカウントダウンワークショップが始まろうとしている。これは、行かない訳には行かない。会場には、あちこちのワークショップで会った面々が30人程集まっている。

円陣を組むやいなや、森田は「太宰治をテーマにしよう。太宰治についてなにかわかる事言って」と言う。最初に当てられた人は、何も思い付かないらしくパスし、次の人が「何とか派と何とか派」と言う。その後、「人間失格」、「斜陽舘」、「三鷹」等と続くが、自信をもって話す人はいない。

実は、イッセーさんは2006年の2月、「太宰治を読む・観る・演じる」というテーマで千住のテアトル1010で公演を行う事が決定しており、このワークショップが上手く行けば数名のワークショップ参加者にも出演をお願いする事も考えている。しかし、それはまだ先の話だ。今日は取り敢えず、太宰的恋愛の形態を少し探る事にする。

太宰は「暗い」イメージがあるが、それは恋人に相手の良い所を話す事なく、自分の駄目な所ばかりを並べる所から来ているとか。少し試してみる。前回のワークショップから何カ月もたっているせいか、準備運動を省いているせいか、僅かばかりぎこち無さを感じる。今までとは違って初日から高度なテーマだ。日数も今までより多く取ってあるし、今日の稽古の半分ぐらいは太宰治と恋愛に関する対談に費やされる。

人の何処が恋愛の対象となりうるか。何故特定の行動をとるか。本当に社会的に批判される状況におい込まれたら、はたしてどんな反応をするのだろう。演出家の森田は以前、演劇の稽古で、「親に妊娠したと言ったらどんな反応をするのか」と言ったら、実際に試した女性が二人いたという。親の反応はテレビドラマとは程遠いものだった。一人の母が「ざまあ見ろ」と言い、もう一人の父が「酒を買って来い」と言ったそうだ。なのに、何故お芝居になると芝居めいたパターンに縛られるのだろう。

各自が、太宰的に、自分の悪い所を述べてみると、思い付く事は一人一人違うことがわかる。自分を賢く見せようとする人、部屋がきたなくだらし無い人、劣等感を隠している人等いる。そんな所に反応する相手さえ上手く選べば、ちゃんとした会話が成立しそうだ。

最後は、自由に恋愛に関する場面を模索して見る。

ある男性は、「一年以上会ってないやつって、いきなり恋愛感情が生まれるって事、あると思う? 」と切り出す。「俺の元彼女だけど、、、」

ある女性は「旦那のポケットから見つけた女性とのツーショット写真」の事を話す。その裏には、「生まれ変わっても二人は一緒」と書いてある。日付は、結婚前だった。奥さんが元気に笑い、離婚すると断言する。

そうこうしている内に、時刻は5時だ。今回のワークショップは、イッセーさんの公演会場を昼だけ使うものなので、観客が入る前に終わらせる必要がある。参加者たちは、スタッフと一緒にてきぱきと椅子を並べ変え、ロビーの準備も手伝ってくれている。まもなく会場時間となり、一般客が入ってくる。

明日の稽古も13時から始まる予定だ。それまでに風邪が直ると嬉しい。

description 開始前のホワイエ
懐かしい顔がそろっている

雄三さんと参加者
久々の稽古が、今までよりものんびりとしたペースで始まる

雄三さん
「太宰治をテーマにしよう。太宰治についてなにかわかる事言って」

男女
自分の駄目な所をアピールする恋愛。話し次第では発展する可能性も、、、

男達
太宰治となると、男が要るが、いつもながら女性参加者に比べるとその数が少ない。多いに活躍して頂きたい