魚津への電車
魚津ワークショップは今日から始まる。皆は空港へ向かうが、私だけは駅へ行く。最近の空港のあの気持悪い雰囲気を避けるためだ。魚津まで、のんびりした電車での一人旅だ。
所が、今回は少しのんびりし過ぎている。先日オフィスで調べた所、電車でも3時間たらずで行けるはずだったのに、何と、駅員に聞くと四時間以上かかる事が判明する。新幹線と特急「はくたか」の乗り継ぎが上手く行くと、たしかに三時間もかからないが、魚津は東京ではないし、大阪でもない。京都でもなければ、名古屋でもない。東海道ばかりを行ったり来たりしている内に、「電車は五分間隔だ」という錯覚に陥っていたのだ。
今となっては致し方がない。一時間は余裕を見ていたので、三十分の遅れで済む筈だ。飛行機チームに電話して報告すると、村田ちゃんが申し訳なさそうに、ぼそっと「ごめん」と言う。オフィスで一緒に乗り継ぎ時間を検索したのは彼女だったので、責任を感じているらしい。が、電車で来る事にしたのも自分、正確な乗り継ぎを確認しなかったのも自分だ。「ごめん」と言われると、自分もよけい申し訳ない気持になる。
越後湯沢駅で乗り継ぐ特急「はくたか」は何となく背が低い印象だ。席を見付け、のんびりと本を読んだり、うとうとしたりする内、魚津駅に着く。荷物をまとめ、車両の端へ向かうと、、、ドアはない。左右を振り向き、目の錯覚ではない事を確認してから、急いで次の車両を縦断するが、着く頃はもうドアが閉まっている。
次の駅で降りるしかない。開いている席を見付け、待つ事にする。巡回の車掌さんに事情を説明すると、切符の裏に降りそびれた事を書き、判子を押してくれる。どうやら、あの車両には出口がない為、時々降りそびれる人が他にもいるらしい。「あの車間連結部分へ通じるドアに、大きく「出口は無いので、反対側のドアをお使い下さい」と書いてくれれば良いのに」、と言うと、車掌は少し怪訝そうな顔をする。車内放送はしていたと言うが、本を読んでいたか寝てたかで聞きそびれたのだろう。
滑川駅でおりて、戻り電車を待つ事三十分。到着した電車のドアは開かない。一瞬戸惑うが、昔よく乗っていた八高線を思い出す。乗り降りする人がいない限り、車内に冷気を入れないため、ドアは自動的に開かないのだ。何故か高校生の頃、妹と線路を歩きながら写真を取っていた時を思い出して懐かしい。
通勤者や学生で満杯の電車に揺られて、ようやく魚津で降りるともう八時を過ぎている。タクシーで会場へ向かい、舞台へ辿り着くと、今日の稽古が終わる寸前だ。取り敢えず、写真を何枚か撮りながら、演出家の森田の話を聞く。
「ここでやっている事は、ここでしか通用しない。また、ここでは他所で覚えた事は通用しない。」
円陣に座っている参加者は二十人位だ。その中には、知っている顔もある。前のワークショップでも、「ここでしか通用しない」事をならい、それが「通用する場所」へ来ている。
丁度全員の写真を一通り撮り終えると、一日目の稽古が終わってしまう。今日は殆ど電車の旅のレポートになってしまった。まあ、そんなこともある。明日にかけよう、、、

魚津ワークショップの初日の参加者は二十人位だ。

今回、一番遠い所からの参加者は、宮崎ワークショップにも参加した若者だ。遥々魚津へようこそ。

先ずは、思い付いた事を喋る。初日の緊張はまだ溶けていない。

しかし、この場はあきらかに穏やかだ。着いたばかりだが、今日の経過は良好そうだ。