緊張と開花と呼吸困難

今日は少し緊張が溶けたような気がする。本番前の稽古では、肩の力が抜けた感じがする。公演が始まる前に、笑みを浮かべている参加者が目立つ。

魚津公演の演目を上げよう。

嫁の心得
ワークショップ公演の開幕は、都会から嫁いで来た嫁と姑の場面だ。姑イッセーは、明らかにもう帰りたいと思っている嫁に「あなたの為に言うが、先にお風呂に入りな、と勧められた時は、絶対に入らないように。白い目で見られるから、、、」と、田舎の風習を解く。
縁側の一時
農家の縁側で会話している二人の年配の女性。特に話題もなく、他愛もない話が続く。しかし、家に帰っても状況は変わらないので、一緒にいる方が寂しさが紛れる。交互に立ち去ろうとする二人は、互いを引き止め、居間の奥に座っているさらに年上の老婆が関心もなくその姿を見つめる。
お世話になっているので
二人の主婦の間で延々と続くかっぽう着贈呈を巡る社交辞令的やりとり。結果は最初から見えているのに、何故か心をくすぐる情熱的な褒め言葉や謙遜の嵐。日常的に行われるこの光景は、舞台で展開するとこんなにも面白いとは予想もつかなかった。
村の集会
集会を口実に村人を集めての宴会をはかる村長。名目がないと格好がつかないが、話題もないので前置きだけが長くなる。埼玉県から村に嫁いだ人付き合いの悪い嫁、家の前で躓いてから歩けなくなった柴田の婆ちゃん、そして呆けてから食べた事を忘れがちな栄さんの所の爺さんの話が飛び交う。天狗を見たと言い張っている栄の爺さんで話が盛り上がると、天狗イッセーが会場に現れるが、その姿は村人には見えていないらしい。
初雪
初冬の夜、居間に集まった五人家族。お婆さんはうたた寝し、お母さんは近くの丘の命名に纏わる自慢話に没頭している。そのうち話題がお父さんの若い時の仲間の、祟りによる早死にや、お父さんの病気、そしてお母さんが父の命をどう守ったかに移ると父も寝たふりをする。初雪が降り出している事に気付く長女は窓の所へ走り、何処か遠くへ飛びたさそうに、小さく揺れながら踊りだす。
孫の里帰り
都会の大学へ通っているのか、久しぶりにお婆ちゃんの家を訪れる孫娘。お婆ちゃんは嬉しさ余って、全く関心がない事を装い、孫がまだ小さい時から使っている話題を持ち出す。
「お婆ちゃん、貴方を橋のたもとで拾ったのよ。だから顔が似ていないでしょう、、、」
孫娘は話を聞く。穏やかな一時が過ぎて行く。
よそ者其の1
村へやって来た中年男を村民に紹介する村長。遠い親戚関係らしい岡田さんは、東京でトラブルを起こし、しばらく村で住む事になったらしい。一所懸命皆に好印象を植え付けようとする村長の苦労も空しく、岡田はだれとも関わり合いを持ちたくない気持を露にする。
その場に現れるのはギターを抱えた神主イッセー。謎めいた村の言い伝えを歌にし、集会は取り敢えず丸く収まったように見える。
よそ者其の2
そう簡単に諦めない村長。紹介者の責任もあって、集会の後よそ者岡田と二人きりになると、お近付きの印に、若い時の不思議な体験を語りだす。しかし、怪談話には全く興味のない岡田は村長を遮り、ドラムスティックと口ラッパの一人舞台を披露する。怒りと諦めの狭間でその光景を見守る村長は寂しく見える。
よそ者其の3
よそ者岡田の所へ現れる村の青年。複数ピアスとゴム長靴の組み合わせは不安な心の現れか。岡田にミュージシャンになるにはどうすれば良いかと聞くが、村を離れる気は明らかにない。岡田が攻め続けると泣き出す青年。涙を流しながら田舎生活の魅力を語り出す彼は、岡田の楽器と化す。
遠い花嫁
何十年かぶりにお婆ちゃんの家へ訪れる黒ちゃん。海外で出会った婚約者のリサさんを見せに来ている。所が、田舎は思っていた雰囲気とは違うし、お婆ちゃんもよそよそしい。しかも遅れて来たリサは田舎もお婆ちゃんも気に入らない。
足を蹴られ、置き去りにされた黒ちゃんは、お婆ちゃんにも笑われ、寂しそうにブルースハープを吹く。
父との別れ
亡くなった父を囲む母と息子達。母は悲しいながらも冷静に対し、二人の息子達は感情を露にする。
「何で死ぬのよ!一緒にカラオケを歌う約束だったのに!」「一緒に松茸を取りに行く約束してたじゃないか。いったい何処にはえてるのよ、、、」
母親の静かな歌。それに声を添える息子達と舞台の良脇の全参加者達。そして暗転。
一番星の歌
舞台に立っているのは天狗の面と神主らしい袴を纏ったウクレレ男イッセーだ。林業会社の息子の依頼で、社長との面会に来ているらしい。即変装を見破る社長は、面白がって息子の頓珍漢な事業計画を聞くふりをし、最後には全国展開に向けて作曲したコマーシャルソングまで歌わせる。

二日目の公演が無事終わり、参加者達はホッとした表情をしている。魚津の観客の拍手は本当に暖かい。公演の途中でいくつかのハプニングもある。見ていて緊張したのは、父との別れの場面で、最後に起き上がり、一緒に歌いだす筈の父親は最後まで動こうとしなかった時だ。いったい何が起きたのだろう、、、

後で話を聞いた所、緊張の余りか、舞台上に寝ながら呼吸が出来なくなっていたと言う。それにしても、場面の終わり迄に起き上がれるようになってよかったと思う。

打ち上げの時、全員の写真をもう一度撮り、今まで聞かずにしていた名前と結び付ける。明日は神戸へ向かう予定だ。別れる度に思うが、次回の魚津でのワークショップでは、はたして何人とまた会えるのだろう。

始まらない集会
今日、柴田の婆ちゃんも来とらんがよ、あの人足悪うくなってよ、この前蹴躓いて、歩けなくなってよ、、、

お婆ちゃんと孫
「お婆ちゃん、貴方を橋の麓で拾ったのよ。だから顔が似ていないでしょう、、、」

新しい村民
「この人はね、僕の良く知ってる人で、あの、都会の人だね」四苦八苦しながら、なかなか振られても喋ろうとしない知人の岡田を紹介しようとする村長。その窮地を救うのは、ギターを抱えてやってくる神主イッセーだ

青年と岡田
音楽家になるにはどうしたら良いかと聞きに来る村の青年。しかし、元より村を出る迄の勇気はない

お婆ちゃんと黒ちゃんと花嫁
「ほら、リサ、お婆ちゃんに日本語で挨拶してよ」

三代目イッセー
今のままでは会社が行き詰まるのではないかと心配する三代目は、変装姿で、父親に裏山で湧く水を販売する計画を提案しに来る。身元はすぐばれるが、それでも親に勧められて、新事業のプロモーション用に作ったコマーシャルソングを披露する

最後に、、、
舞台挨拶、、、